引っ越しに伴う仏壇の買い替えや継承者がいないなど、様々な理由で仏壇の処分をしなければならないこともあります。特に、引越しを機に引越し先の住居に仏壇を置くスペースが確保できずに、仏壇を処分するケースはよく見られます。
また、実家にある仏壇を両親が介護施設に入るのを機に処分するケースや遺品整理をする際に処分するケースも増えてきています。仏壇を継承する人がいない場合は処分せざるを得ません。
しかし、仏壇の処分は一生のうちに何度も経験することではなく、周囲に仏壇の処分を経験した人もなかなかいないと思います。そのため、処分方法で頭を悩ませる人が多いです。
仏壇は、ご先祖様やご本尊を祀るものであり、家具と同じように処分するわけにはいきません。
今回は、正しい仏壇の処分方法や処分までの流れや、その際に気を付けるべきことを紹介します。
仏壇の意味と役割
日本の多くの家庭に見られる「仏壇」。
日常の中で手を合わせる場所として親しまれていますが、その役割や意味を改めて聞かれると答えに迷う方も少なくありません。仏壇の役割や意味について改めて考えることで、気持ちの整理や感謝の気持ちを持って仏壇の処分ができるはずです。
まずは仏壇の持つ本来の意味と役割を整理しましょう。
仏壇の意味とは?
「小さなお寺」のような存在
仏壇は、家庭において仏様やご先祖様をお祀りするための壇(だん)です。寺院の本堂を小さく模したものともいわれ、家庭にいながらにして信仰や供養ができる「小さなお寺」のような存在です。
仏壇の構造
仏壇はただの箱型の家具ではなく、寺院の本堂を小さく模して作られた「小さなお寺/家庭のお寺」といえる存在です。外観や内部の構造には一定の様式があり、それぞれに意味が込められています。
中心には宗派ごとのご本尊(仏像や掛け軸)を安置し、その前に位牌や供物を置いて手を合わせます。そのため、仏壇は小さな寺院のなかにご先祖や亡くなった家族などの家があると考えられています。
仏壇は単なる家具ではなく、信仰と供養の対象として特別な意味を持っています。
仏壇の役割とは?
仏壇はなぜ必要?
仏壇には位牌を安置し、日々の供養や法要を行います。仏壇に手を合わせることで、ご先祖様や故人への感謝を伝え、心のつながりを感じることができます。
また、仏壇の中央には宗派ごとのご本尊(仏像や掛け軸)を安置します。これは家庭にいながらお寺に参拝するのと同じ意味を持ち、日常的に仏様に祈りを捧げる場となります。
お盆やお彼岸、法事の際には、家族が仏壇の前に集まり手を合わせます。仏壇は世代を超えて「ご先祖を敬う心」を受け継ぐ象徴であり、家族の心を一つにする役割を果たします。
日常生活の中で仏壇に向かい、感謝や願いを伝える習慣は、心を落ち着ける効果があります。悲しみや困難に直面したときも、仏壇に手を合わせることで安心感を得られる方は多いです。
ご先祖供養の場
位牌を安置し、日々の読経や命日法要を通してご先祖様を敬う場所です。
仏様を信仰する場
宗派ごとのご本尊を祀り、仏様に祈りを捧げることができます。
心の拠り所
日々の生活の中で手を合わせ、感謝や願いを伝える習慣は、心を落ち着ける場ともなります。
家族をつなぐ象徴
仏壇を中心にお盆や法要が行われ、世代を超えてご先祖を敬う気持ちを受け継ぐ役割も果たします。
適切な仏壇の処分とは
閉眼供養
仏壇の処分を行う前に行わなければならないのが「閉眼供養」という儀式です。
別名には、魂抜き(たましいぬき)、性根抜き(しょうねぬき)、撥遣(はっけん)供養、抜魂式(ばっこんしき)、脱魂式(だっこんしき)、お性根抜き(おしょうねぬき)などがあります。
閉眼供養の目的
仏壇を設置した際には「開眼供養(魂入れ)」を行います。そのため、仏壇に宿ったご本尊(仏様)やご先祖、家族や親族の魂が入ったまま、仏壇の処分はできません。お墓や仏壇、位牌などに宿るとされる魂を抜いて、それらをただの石や物に戻すための儀式を行います。
魂を抜くこと
仏壇に宿っていた故人やご先祖様の魂を正式に抜くことで、礼拝の対象ではなくなります。
感謝と敬意を表すこと
仏壇を処分する際、これまでお世話になった魂に感謝の気持ちを表し敬意を示すための儀式です。
罪悪感を軽減すること
閉眼供養を行うことで、仏壇や仏具の処分に対する罪悪感や後ろめたさを軽減することができます。
閉眼供養のタイミングと手順
僧侶に読経し供養することで仏壇をただの木の箱に戻します。
菩提寺があり仏壇の処分を依頼する場合は、閉眼供養を一緒にお願いするとよいでしょう。
菩提寺や寺院ではなく、仏壇処分業者に依頼する際は、閉眼供養(魂抜き)を行ってもらえるか確認しましょう。
閉眼供養をしない場合も
浄土真宗
浄土真宗など、閉眼供養を必要としない宗派もあります。
※浄土真宗は、故人は極楽浄土にいると考えられています(故人の魂はこの世に存在しない)。そのために魂を抜くという考え方がないので魂抜きは行いません。そのため、閉眼供養の代わりにご本尊様を移動するための遷座法要をおこないます
自分の家庭はどの宗派に属しているのかを把握してから菩提寺や業者に確認するとよいでしょう。
仏壇処分の依頼が可能な引き取り先はどこ
仏壇を処分する際の依頼先は、主に、菩提寺、仏壇・仏具店、仏壇処分専門業者、自治体の4つになります。それぞれの特徴を押さえた上で依頼先を選びましょう。
菩提寺
菩提寺とは、先祖代々のお墓があるお寺のことです。 位牌もおまつりしてあり、仏事でわからないことなど相談にも乗ってもらえる場所でもあります。仏壇処分の際には、まず菩提寺に相談するのが基本になります。閉眼供養から引き取りまでお願いできる場合もあります。菩提寺以外でも、仏壇を引き取ってくれるお寺もありますが、檀家以外は断るお寺が多いです。
菩提寺にお願いする際は「閉眼供養」後に、お布施を僧侶に渡します。お布施代は寺院より異なり、~10万円程度が相場になります。お寺との関係性などにもよりますので、迷った時は僧侶に相談してみましょう。また、仏壇をお寺まで運ぶ費用は別途必要になります。対応方法や費用は寺院ごとに異なるため、事前の確認は必須です。
仏壇・仏具店
購入した仏具店や買い替えを行う仏具店で引き取りを行っているところもあります。閉眼供養と仏壇の処分を同時に一括できる場合が多いですが、供養そのものはお寺の僧侶が読経して行うのが一般的であるため、仏具店では閉眼供養の手配や処分のみを代行、または提携寺院へ委託する形となります。
また、引き取り料金がかかり、お寺に納めるお布施と異なり処分費用としての料金設定がされています。仏壇の大きさによりますが、~8万円くらいのところが多いようです。
自治体
自治体で粗大ゴミとして処分することも可能です。分類は自治体によって異なりますが、タンスや食器棚のように、大型家具として扱う自治体が多いです。粗大ゴミの場合は数千円で処分でき、ほかの処分方法と比べ費用面では格段に安く済みます。
さらに、部分パーツごとに細かく分解し処分すれば、燃えるゴミとして捨てることも可能になる場合もあり、その場合費用はかかりません。しかし、仏壇やご先祖に対し思い入れがある人は、なかなかできないかと思います。近所の人の目もあり、あまりおすすめできる方法ではありません。また、仏壇を粗大ごみとして回収していない自治体もあります。仏壇を粗大ごみとして出してよいか、必ず確認してください。
ゴミとして処分する場合も、閉眼供養は必ず行っておくようにしましょう。
仏壇処分の専門業者
仏壇処分を専門に扱っている業者もあります。
仏壇の処分のみを行う業者と、「閉眼供養」「位牌」の他、仏具供養まで全ての処分を依頼できる業者があり、宗派に関係なく対応してもらえます。供養を行っている業者では提携している寺院や僧侶が供養を行い、希望すれば「供養証明書」をもらえる場合があります。
費用に関しては、搬出・処分・供養が含まれている金額を事前見積もりでもらえ、相場は2万円~6万円程度。追加料金が発生するかなど、疑問点があれば事前に確認しておくとよいでしょう。
菩提寺ない場合や遠方にある場合は、専門知識があり供養をしっかり行ってもらえるこの方法がおすすめです。
仏壇処分時の注意点
親族への相談
仏壇は、家族だけでなく親族もお参りすることがあります。そのため、お参りに来られる親族には事前に仏壇を処分する事情などを伝え、理解をしてもらうようにしたいものです。親族の同意を得ずに処分すると、後々トラブルになる可能性があります。閉眼供養(魂抜き)を済ませた上で、菩提寺や専門業者に相談し、供養と引き取りを依頼するのが一般的ですが、親族に処分する事情を説明し同意を得ることで、皆が穏やかな気持ちで仏壇と別れられるように配慮しましょう。

